[マーケティング知識]その数学が戦略を決める

本日ご紹介するのは、「その数学が戦略を決める」です。

デジタルマーケティングは、すべての行動を定量的に計ることができるのが特徴ですね。行動履歴をビッグデータとして分析することで仮説を検証したり、新たな知見を得たりすることもできます。行動観察などによる洞察し、そこから得られる本質はもちろん重要ですが、こうしたデータ解析による高速なPDCAもやっておくべき取り組みです。

 

本書は、ビッグデータといういわゆるバズワードが出てくる前に記されたものですが、その特徴や意味を解説しています。大量データ解析である回帰分析や無作為抽出、確率論が、直感や専門知識・経験を超える、ワインの質と値段は方程式で予測でき、野球選手のポテンシャルも予想できる、など。事例として、協調フィルタリングによるレコメンドが挙げられています。AmazonやNetflixはもちろんのこと、航空会社のマイレージプログラムでも回帰分析は駆使されているそうです。

回帰分析をビジネスに応用されるようになったのはチープ革命によって容易になったためで、大量のデータを生成できるだけデジタルガジェットが普及し、データをネットワーク上に送れるだけ広帯域・安価になり、データを保存できるストレージも安価になり、集積されたデータを解析するだけ高速なコンピュータが安価になったことが背景にあります。単純な計算ですが、それを高速に処理できる環境になったことで、難しい1つの方程式を見つけるのではなく、厖大なデータの高速な解析によって何かを導こうという試みが実現できるようになりました。

 

興味深いのは、Capital Oneの事例です。

彼らは従来の業務をITで効率化するのではなく、ITだからできることを前提に業務を組み立てたのが特徴で、無作為抽出の事例として紹介されています。もちろん過去データの解析から、コールセンタにかかってきた顧客のデータをリアルタイムで解析し、アップセルをかけたり、取引があまりなく重要性の低い顧客ならば自動でIVRに回すなどの取り組みです。見込み客へのDMでは、訴求メッセージを変えて、無作為に分けた2つのグループに送付し、反応率の違いから、効果を測定します。ウェブでは常識のABテストですね。

このほかにも、医療や政策での無作為テストの事例が紹介され、最後には標準偏差等の確率論を身につける必要性も説かれていました。

 

洞察・直感は人間だけが持つ能力で、数字を超えたところにこそ、未来を切り拓く力があると思いますが、データとその解析が示唆するものを併せ持つことで、その幅を広げられれば、仮説の精度も上がり、もっと面白く仕事に取り組めるかもしれませんね。

この記事の著者

Atsushi Shibayama
通信業界での法人営業を経て、ネットサービス業界での商品企画やマーケティング、ビジネス開発に10年以上携わる。専門はB2B2Cプラットフォームや不動産投資マネジメント、イノベーション。
デジタルマーケティングコンサルタントとして、主にB2B企業の戦略立案や実行計画策定を支援している。
2015年12月10日 by
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